ITILが役立つのはどんな場面か

ITILという言葉を耳にしたことがあるでしょうか。初めて聞いたという人もいるかと思います。ITILとはInformation Technology Infrastructure Libraryという言葉の略で、非常に簡潔に言えばITサービスマネジメントにおける最適な取り組みをまとめた書籍群のことです。1989年にイギリスの中央コンピュータ電気通信局によって公表されました。ここまで聞いても難しい言葉ばかりですが、IT(情報技術)サービスの品質向上やコスト削減などを目的とする企業やコンサルタントから、実際の運営方法やノウハウを集めて書籍にしたものです。現在ではITサービスの事実上の標準となってきており、重要な位置付けになっています。ITILの考え方を取り込んだITサービスマネジメントシステムは国際規格となっています。

どうしてITILが必要とされているのか

これまではITサービス提供のノウハウは、経験を積んだベテランは分かっていても、誰にでも見える化は行われていませんでした。ですので、技術が伝承されにくく、全体での技術向上が難しかったのです。しかしITILはそんな先進企業のノウハウを見える化したのです。また、ITサービスの関連用語はこれまで統一されておらず、混乱の原因となっていましたが、ITILは組織の内部や用語の定義を明らかにしたため、テクニカル用語の統一が図られました。ITサービス組織の管理の内容とノウハウがありますので、何らかの問題が生じても責任の所在が明らかになり、さらに解決方法も提供してくれるので問題解決がスピーディーに行うことができるのです。この様な点から、ITILは日本でも広く普及してきているのです。

ITILが役立つのはどんな時なのか

ITILは、企業のIT運用を適正に推進していくための道しるべで、会社のIT運用責任者が参考にするべき管理運用マニュアルです。どんな場合に役に立つのかと言えば、例えばアプリケーションを開発する場合にはソフトウェアのバージョン管理が大切になります。少しでも修正したら、バージョン番号を変えて、管理リストを作って登録するという事例がITILにあります。これをやっていれば、いつ誰がソフトウェアを変えたのかが分かるので、トラブルの場合でも、どこまで戻せばいいのかが分かります。バージョンアップをリストアップするだけでなく、前後のソフトウェアもきちんと残して管理しておくという様に踏み込んで書いてあるのです。ITILファンデーション資格という、知識を認定する資格もあり、運用管理に関わる資格として受験する人も多くなっています。